相続放棄後の財産の処分に関するQ&A
相続放棄をする場合に、財産を処分してはいけないのですか?
相続放棄をする場合には、相続財産を処分することはできません。
相続財産を処分してしまうと、法定単純承認として「相続をしたもの」と扱われるため、相続放棄をすることができなくなってしまいます。
このような行為が法定単純承認となるのは、本来、相続をしない限りしてはならない行為であるため、このような行為をしているのであれば相続をする意思があったものと推認できるだけでなく、第三者から見ても相続する意思があったと信じるのが当然であると認められるからだと考えられています。
相続放棄をした後に、財産を処分することはできないのですか?
相続放棄をした場合には、すでに相続人ではありませんので、相続財産を処分する権利はありません。
さらに、民法では、相続放棄後であっても、相続財産を「隠匿」した場合や、「私に消費」した場合にも、法定単純承認として扱われているので、注意が必要です。
このような背信的な行動をした相続人には、相続債権者の犠牲において、相続放棄という保護をあたえるのは相当とはいえませんから、相続債務を承継させるという民事的な制裁を科すものだと考えられています。
したがって、これらの行為をした場合には、相続放棄の手続きをしていたとしても、相続放棄を主張することができなくなります。
相続財産を「隠匿」したとは、どのような場合をいうのですか?
相続財産を隠匿するとは、相続財産の所在を不明にする行為をいいます。
相続放棄前には、このような行為は法定単純承認とはされていませんが、相続放棄後には背信的行為にあたるものとして、法定単純承認行為とされています。
相続財産を「私に消費」したとは、どのような場合をいうのですか?
相続財産を私に消費したとは、ほしいままに相続財産を処分して、原形の価値を失わせることをいいます。
「私に」とは、「ひそかに」と読みますが、公然となされたものであったとしても、これにあたると判断されたものもあります。
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