相続税申告
相続税の申告が必要な場合
1 遺産の額が基礎控除額を超える場合
課税される遺産の総額が一定のライン(基礎控除額)を超える場合、10か月以内に相続税の申告と納付をしなければならず、万が一、申告をしないままでいると、無申告加算税や重加算税などのペナルティを科せられたりする可能性があります。
そのため、課税される遺産総額が基礎控除額を超えるかどうかは極めて重要です。
⑴ 課税される遺産とは
そもそも、課税される遺産としては、たとえば、不動産や預貯金、株式や貴金属類などの本来的な遺産が挙げられます。
また、一定の死亡保険金や死亡退職金、死亡日から3年以内の贈与についても、みなし相続財産として、課税される遺産の対象となります。
なお、3年以内の贈与については、法改正により、今後7年以内の贈与が課税の対象とされる可能性がありますので注意が必要です。
他方、相続人が受取人となっている死亡保険金や死亡退職金については、500万円×法定相続人の数の金額までは、非課税財産として、課税される遺産の対象から外れます。
また、墓石や仏壇の祭具も非課税財産となります。
⑵ 基礎控除額とは
次に、基礎控除額については、3000万円+法定相続人の数×600万円によって計算されます。
たとえば、相続人が2人の場合、基礎控除額は4200万円となりますので、課税される財産の総額が4200万円を超えなければ申告する必要はありません。
2 相続税の納付は不要であるが相続税の申告が必要な場合
このように課税される遺産の総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告と納付が必要になります。
しかし、特例等を用いて結果的に相続税の納付が不要となることもありますが、申告自体はしなければならないというケースもあります。
たとえば、遺産を取得した人が被相続人の配偶者である場合、取得した遺産額が1億6000万円までは相続税がかからないという配偶者の税額軽減という制度がありますが、この制度を使うためには、相続税の申告が必要となります。
また、土地の価額を最大80%減額する小規模宅地等の特例という制度もあり、この特例を使えば遺産総額が基礎控除額以下になる場合でも、相続税の申告が必要になります。
そのため、基本的に、課税される遺産の総額が基礎控除額を超えていた場合は、相続税の申告が必要と考えておいた方が良いでしょう。