遺産分割協議
遺産分割について相談すべき専門家
1 弁護士への相談
亡くなった方が遺言書を作成せずに亡くなった場合、亡くなった方のすべての相続人で遺産分割協議をして、どのように遺産を取得するのかを協議する必要があります。
法律上は、それぞれの相続人に法定相続分という権利があり、特別受益や寄与分を考慮して、これを修正した具体的な相続分という権利があり、裁判となった場合には、これを基準として遺産分割がなされます。
他方で、相続においては、それぞれのご家族ごとにご事情がありますし、どのような遺産分割をすれば相続人全員にとって利益になるのかの判断をすることは非常に難しい面があります。
どのような内容で相続人が遺産を取得するのかについては、相続人全員が合意すれば自由に決めることができますから、その意味では決まったルールがあるわけではありませんが、上記のとおり、法律上の権利を考慮しながら、分割方法を協議していくのが通常です。
遺産分割協議について弁護士に相談する場合、「遺産分割協議でもめたら弁護士に相談をする」という意識の方もいらっしゃるかもしれませんが、遺産分割協議でもめてしまったときはもちろん、遺産分割協議でもめないために、弁護士に予め相談するという意識が重要だといえます。
なぜなら、相続については、上記のような相続分の知識だけでなく、不動産の評価方法、名義変更、売却などの不動産に関する知識のほか、預貯金の調査方法、株式の評価方法、生命保険金の扱いなど、非常に幅広い知識が必要になるからです。
インターネットなどの情報から、これらを正確に理解することは容易ではありませんので、どのように進めるのがよいのかを専門家に相談することが必要です。
仮に、誤った知識や理解をもとに遺産分割協議を進めてしまうと、他の相続人との間で、遺産分割に関するトラブルになりかねません。
弁護士は、相続に関する知識だけでなく、遺産分割協議における相続人の代理人として、相続に関する非常に多くの経験をしていますので、どういった場合にもめやすいか等を理解しています。
そのため、遺産分割について相談をするときには、たとえ相続人間でもめていないときであっても、弁護士に相談すべきだといえます。
なお、残念ながら遺産分割でもめてしまった場合には、弁護士でないと相続人の代理人になることはできませんので、弁護士に代理人として活動してもらうことも検討しましょう。
2 税理士への相談
遺産分割を進めるうえで、税理士への相談も検討しましょう。
遺産分割の内容を検討するうえで、相続税がかかるかどうかや、相続税がかかる場合に、どのような遺産分割の内容だと自分にどれくらいの相続税がかかるのかを理解していなければ、十分に検討したとはいえないことも多いと思います。
また、遺産分割の内容によって、配偶者控除や小規模宅地等の特例の利用など、相続税の内容が大きく異なることもありますので、これを遺産分割の内容の検討に反映すべきだといえます。
こうした知識は税理士に相談しなければ得ることが難しいといえますので、遺産分割協議が終わる前の段階から、税理士に相談をしておかれることをおすすめします。
なお、税理士資格もある弁護士に遺産分割の相談をするのであれば、相続税に関するアドバイスも併せて受けることができます。